動物愛護の目指すゴールとは 〜 殺処分のない社会に向けて 〜
元来、動物が人間社会に参加するようになった当初は家の防犯や猟など、人間の補助的な役割があった。犬は不審な来訪者に吠え、猫は屋根裏のネズミを狩る。
そうして動物でありながら、単なる愛玩の対象ではなく尊厳を持ち、必要とされて来た歴史を動物達は持っているのだ。
それが現代では、犬が番をしなくともセコムが監視し、猫が狩らずともネズミは都会ではほとんど姿を見せない。
動物達は家族として生涯、扶養される前提で飼い主の元にやってくる。
ペットショップでは見た目の可愛らしさや愛嬌を競い、市場価値はほぼそのような外面のみにあると言っていい。
それ故、可愛さや愛嬌が少しでも欠けてしまうと心ない飼い主は飼育を放棄してしまう。そしてさらに問題なのが、それをなんとか救おうと手を差し伸べた愛護団体もまた、結局は多頭飼育で崩壊してしまうケース。
動物愛護団体について調べるといくつもヒットするので、興味がある方は調べて見て欲しい。
このようなケースを目にすると、いかにサスティナブルな事業、実現性だけでなく持続性のある事業でなければならないことを痛感する。
前述した「わおん」のように、動物に「いてもいい」環境ではなく「いて欲しい」環境を整備しなくては、可哀想だから、救いたいからという感情論ではどうにもならない現実を私たちはきちんと受け止めるべきでは無いだろうか。
これは『動物愛護団体なんてやめて、わおんに参画して施設を開設すべきだ』とコマーシャルするものではない。わおんやアニスピホールディングスでなくとも、今後このような動物保護を多角的に捉え、解決策を導き出す団体は増えてくるだろうし、そうあって欲しい。
殺処分がほんとうに無くなるためには、ペットショップやブリーダーを法律で規制する他はないだろう。
しかしじゃあ、そんな日が来るのを指を咥えて待っているべきだろうか。
動物達が救われて、当然の権利として生きて、そして必要とされる社会を目指す事業を私は応援したいと思う。
千里の道も一歩から、だ。
少しずつ未来を変えていけるように、いつかの過去である今日、できることを考えていきたい。
アニスピとは。動物愛護とは保護して終わりではない
今後、私達は動物達の命をどう救っていけるだろうか。
功利主義なペットビジネスが減らないことはもちろん悪い。むしろそれが悪いのだ。
しかし今は敢えてそこではなく、保護活動についてきちんと考えてみよう。
厳しい言い方をするようだが、動物愛護団体の「誰かに里親になってもらう」しかプランの無い脆弱性では、今後も劇的な変化は見込めないだろう。
殺処分を免れたところで、里親が見つからなければ各団体で保護できる頭数には限りがあり、また当然、里親になれる人の数だって限界がある。
里親探しの難点は、それが結局は誰かの無責任を誰かが負担しているに過ぎず解決になっていない点だ。
ここで一つ、ある会社の取り組んでいるビジネスに注目したい。
アニスピホールディングスの『わおん』だ。
公式サイトによると「殺処分ゼロを目指す!「わおん」は、保護犬・保護猫とともに暮らす障がい者グループホームです。」とのことだが、簡潔に噛み砕いて説明すると、要するに「グループホームで保護犬(猫)を引きとり、入居者と共に生活してもらおう」というわけだ。
私がこの事業にとてつもない感動を覚えたのは、そのフェーズにある。
この事業では、動物は「保護された可哀想な愛玩生物」ではなく、誤解を恐れずに言わば、きちんと役割を持った「存在意義のある生物」なのだ。
現代社会のペット需要とその背景にある飼育放棄、ひいては殺処分
筆者の数十年来の友人に、猫好きが極まって猫カフェを開いた女性がいる。
彼女に限らず、猫カフェではキャスト(キャットではなく、なんてボケてしまうのは中年男のサガなので許されたし)である猫達は、保健所からやって来ていることがまま多い。
最初から保護動物の里親探しを見越して開業する猫カフェもあり、客もまた、良い出会いがあればという心づもりでやって来る人も少なくない。
他にも最近では動物病院が譲渡目的でカフェスペースを設けたり、里親マッチングサイトが開設したりと、愛護団体だけではなく、各地で思い思いの動物保護・動物愛護の活動が盛んに見られるようになった。
その背景には、飼い主のいない動物達の『殺処分』問題が未だなくならない、日本の現状が大いに関係しているのだろう。
現代社会におけるペットの需要は年々増加傾向にあり、ペットを家族の一員として捉える飼育者と共に、ペット一頭あたりへの支出も帯同して増加傾向にある。
『2020年版 ペットビジネスマーケティング総覧』によると、2019年度のペット関連総市場規模は小売金額(末端金額)ベースで前年度比101.7%の1兆5,700億円の見込、2020年度には1兆5,978億円(同101.8%)と微増推移を予測している。見ての通り、ペットビジネスは一大産業なのだ。
儲かれば、儲けたい人間は当然寄って来る。
好調子のビジネスチャンスに群がる人々の中には、それが「命」であることを忘れ、売り買いに取り憑かれてしまう事業者も少なくはない。
本来ならば売る人も買う人も、それが命である以上、違和感が付帯するのがペットビジネスだ。性善説を唱えるつもりはないが、人々の多くは、やはりペットショップで可愛い子犬を「買う」時には、チクリと本質的な良心が切なく痛むだろう。
それ故に、その命を大切に受け取ろう、共に生きていこうと覚悟するのではないだろうか。
けれども多くの道徳的な(あるいは健全な)人とは異なり、可愛い頃を過ぎた犬には興味が失せて捨ててしまう買い手や、より愛らしい外見に拘って悪質なブリードを行う売り手が、この世界には確かに存在する。
世界どころかこの日本で、私達と同じ言語を話し、同じ肌の色をして時に談笑をする日本人として、そういう一定層は存在しているのだ。
日本の殺処分数は環境省の調べによると、過去10年間の推移を見ると3分の1以下に減少している。(出典:「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」)
しかしながら、これには悲しいカラクリがある。保健所の引取拒否が増えたのだ。もちろん保健所も悪意や怠慢から引取を拒否しているのではない。
2012年(平成24年)に動物愛護法の改正が行われ、「終生飼養の責務」という趣旨に照らして、保健所は然るべきの理由ない引取は拒否できるようになったのだ。
そのため、国の調べという公的な発表を見れば殺処分数は減っている。
だが実際には、どうにかして捨てたい飼い主や、ブリードに“失敗”した生体を引き取ってほしいブリーダーの需要に応えるべく「引取屋」なる闇業者が生体を引取るようになったのだ。
公的な執行ではない引取屋の動物の「処分」方法は、いっそう残酷だ。
悪質な業者や、未だ完全にはなくならない殺処分に、動物愛護活動者たちは今後どのように対峙してゆけば良いのだろうか。
株式会社アニスピホールディングス
株式会社アニスピホールディングス(旧社名:株式会社CARE PETS)は東京都千代田区に本社を置く、社会問題をビジネスで昇華し解決していくことを目的とした企業である。
1、概要
動物看護師によるペットの訪問介護・看護などのホームケアサービス「CARE PETS(ケアペッツ)」をはじめ、ペット共生型障がい者グループホーム「わおん」「にゃおん」をパートナーと契約して収益を分け合う提携形態“レベニューシェア方式”でスタートさせ、後に全国展開を果たす。
1-1企業理念
「人間福祉と動物福祉の追求」・「Issue driven company」
社会課題を解決することによって会社も成長していくという理念を掲げている。
1-2沿革
2016年8月 ペットのホームケアサービス「CARE PETS(ケアペッツ)」開始
2018年 ペット共生型障がい者グループホーム「わおん」「にゃおん」開始
2020年4月13日 本社移転(東京都千代田区)
2、事業内容
保護犬と暮らす、ペット共生型の障がい者グループホーム事業。その他、精神科訪問看護ステーション、相談支援事業所などを展開。
2-2 ケアペッツ
ペットシッターサービス&看護サービス。全国展開され、スタッフ全員が動物看護師の資格を取得している。
2-3 犬塾
飼い主のためのドッグスクール。
プロフェッショナルなドッグスタイリストを育成する青山ケンネルスクールのノウハウが基礎となり、シャンプーカットや躾などペットの育成に関することを学ぶ。
2-4 株式会社キュワンシステム
障がい領域の運営管理・請求システムの開発・販売、動画・音声のAIによる解析及びAPIの開発・販売を行う。
2-5 株式会社空き家活用研究所
障がい者グループホームをはじめとする、介護・福祉事業用に使用する空き家物件の情報収集と物件提供、土地の有効活用提案を行う。
2-6 スマフク
障がい福祉領域の総合人材サービス、サービス管理責任者を中心とした人材紹介およびキャリアコンサルティングを展開する。
2-7 一般社団法人サービス管理責任者協会
サービス管理責任者が自主的に加入し運営する、日本初のサービス管理責任者の職能全国団体。
3、掲載
3-1 雑誌・新聞
2019年10月「毎日新聞」
「介護新聞」
「週刊高齢者住宅新聞」
2019年12月「北日本新聞」
「毎日新聞東京版(夕刊)」
2020年3月 「ぐんま経済新聞」
「いぬのきもち」
「お一人様老後のこれで安心大丈夫」
3-2 ラジオ
2020年3月「CROSS WAVE☆SENJ」
3-3 ウェブ
2019年12月「cheriee」
2020年3月「介護マスト」